飛騨高山タウン情報誌月刊さるぼぼ
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イタリアデザイン界の巨匠
Enzo Mari (エンツォ・マーリ)
視覚芸術アーティスト、デザインの理論家、プロダクトデザイナーなど幅広い活動を行い作品は現在までに600点を超える。故ブルーノ・ムナーリと共にダネーゼ社製品のデザインを手がけ国際的な評価を得る。イタリア、金のコンパス賞、ニューヨークIDC賞をはじめとして受賞多数。日本でも無印良品のためにテーブルとイスをデザインしている。


工場内をくまなく見学するマーリ氏。「私にとってのエコロジーとは、職人の生活と技術を守ることだ。デザインという活動は、取り巻く総ての問題の解決を試みることだ」と語った。



 飛騨の山々にブナの原生林が鬱蒼と生い茂っていた昔、無用の長物とまでいわれたブナ材に着目し、いち早く洋家具づくりに取り組んだのが飛騨産業である。大正9年(1920)高山市上三之町、味噌屋の店先で「人もハサミも使いよう、ブナの木も使いよう」という旅人の話を小耳に挟んだことが洋家具作りの始まりだった。
  その後、オーストラリアのデザイナーで、ドイツ人のミハエル・トーネットが開発した曲木の技術にブナ材が試みられ、適材として評価を得る。それまでは雑炭か下駄の歯か、というくらいに扱われていた太いだけが取柄の木材に光が当てられたのである。古くから生木を紐で縛って乾燥させたり、火であぶったりといった曲木の方法はあったが、木材を蒸して、型に入れ、曲げるという新方法は水分や乾燥の調整がとても難しく、高度な技術を要した。木にはそれぞれの癖がある。人間と同じだ。木の特性を知り尽くした飛騨の匠の目利きと技があってこそ、生きている木を手なずけることができたのだった。


 飛騨産業の戦前の製造は、主に輸出用の椅子だった。戦後は国内需要の高まりと共にダイニングセットなどが爆発的に売れた。だが、もともとのデザインは西洋家具の模倣に過ぎない。果たして、日本の家具、飛騨のデザインと胸を張って言えるものであるのか。平成の匠たちは自問自答を繰り返しながら、木を見つめ直した。
  木の恵みに感謝し、森林を大切にしたいという飛騨産業の思いから生まれたのが「森のことば」。木の節があることで、不良品として捨て置かれていた木材に命を吹き込んだ。節の一つひとつにあたたかで優しげな表情があり、飛騨の家具イコール重厚な高級家具というイメージを取り払った。風の声を聴き、水の匂いをかぐことのできるナチュラルな家具シリーズが「森のことば」である。
  人間がいなくても、森は森であり続ける、しかし人間は、森の恵みに生かされている。木の命を受け止め、無駄なく使い切ることが家具メーカーとしての飛騨産業の新たな姿勢であり、社会へのメッセージとなった。 


 今、飛騨産業は新たな挑戦を始めた。家具には適さないという素材、「杉」への取り組みである。杉材は加工しやすく、空気をたくさん含んでいるために暖かい。建材としては大量に使用されてきたが、家具材としては柔らか過ぎた。
  曲木技術を応用して熱を加え、圧縮することで強度を高め、軟質という杉材の弱点を乗り越えることで完成したのが「里」と
「WAVOK」のシリーズである。この杉材の活用の背景には、日本の森林荒廃と林業衰退への危機感があった。
  世界で最大量の木材を輸入している日本、しかし国内には厖大な人工林が、十分な手入れをされないままに放置されている。この矛盾を見据え、森林再生への一歩として杉材の活用を始めたのである。
  手付かずのままだったブナの木、ハンパもの扱いされた節のある木材と同じように、見離された日本の杉に、飛騨産業はあたたかいまなざしを向けた。今年5月にはイタリアデザイン界の巨匠と呼ばれるエンツォ・マーリ氏との共同開発がスタート。杉圧縮材を使った新しい日本の美が、来年4月、世界最大の家具見本市であるミラノサローネから世界に向けて発表される予定だ。


シリーズ「WAVOK」
杉が本来持つ質感を生かしたNC色(ナチュラル)と、柿渋を使用したPC色がある。柿渋は時間が経つにつれて濃い茶褐色へと変化し、独特の風合いを醸し出す。また賞味期限が切れたビールを再生してつくった「ビールワックス」で拭きあげている。このワックスには殺菌効果が認められている。


シリーズ「里」
地元飛騨産の杉材を使用。杉材の風合いを生かし、植物系オイルと蜜ロウによる手仕上げ。

曲木技術を応用した圧縮木材加工法によって強度を高め、家具には不向きといわれていた杉材に新たな役割を与えた。

馬蹄のような「台輪曲げ」。蒸した木を鉄の治具に沿わせて曲げ、固定し乾燥させて成形する。


【問い合わせ】
飛騨産業株式会社  
高山市名田町1-82-1
TEL 0577-32-1001 ・ FAX 0577-34-9185
ショールーム/飛騨の家具館(高山・東京・大阪・名古屋)
ギャラリー/Gallery森のことば(高山店・新宿店・ロンドン店)

http://www.kitutuki.co.jp/

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