ビギナーたちの、乗鞍デビュー


3,000m級の山でありながら、初心者でも気軽に登山が楽しめる乗鞍岳。標高2,702mの畳平まではシャトルバスで行けちゃうという恵まれた環境は他所にはありません。思い立ったら吉日、この夏、飛騨人の母なる乗鞍へ、さあ出かけましょう!


シャトルバスでいざ出発


▲ほおのき平駐車場の
乗鞍行きバスのりば


▲濃飛乗合自動車株式会社
取締役 坂上博幸さん


 乗鞍スカイラインは、日本一高所を走る山岳道路。
マイカー規制があるため、走行はシャトルバス、観光バス、タクシー、自転車および許可車輌に限られます。
最も手軽に利用できるのは、5月15日?10月末の開山期間中、濃飛バスが乗鞍線として運行するシャトルバス。荒天などをのぞき、基本的に毎日定期運行される路線バスで、予約もいりません。
高山駅前の濃飛バスセンターから出発し、ほおのき平で乗り換えて乗鞍山頂畳平まで一気に登ることができます。
 7月14日?9月2日の夏山シーズンは、ほおのき平から乗鞍山頂畳平までの45分間、一部の便でバスガイドが乗車(雨天など添乗しない場合もあり)。
乗鞍岳の大自然についての説明や旬の情報、乗鞍スカイラインの歴史など、さまざまな話が聞けるので、気分はまさに観光バス。
窓の外に広がる絶景と、ガイドのトークを楽しめるバス登山は手軽で快適です。

乗鞍へのバス運行70周年


▲乗鞍へ向かうロマンスカー
(昭和24年)


▲登山バスでにぎわう
乗鞍畳平(昭和24年)


 ではなぜ、乗鞍に高所日本一の山岳道路ができたのかご存知でしょうか?始まりは昭和10年代半ばの戦争中にさかのぼります。
 当時、東京都立川にあった旧陸軍の研究所が航空機のエンジン試験場の開設地として畳平を選定。
併せて計画された軍用道路は、初めは信州側からのルートでしたが、調査結果や高山市による工事協力を踏まえて飛騨側ルートに決定しました。
軍の計画では、道幅はトラック用の3mとする予定でしたが、濃飛バスの創業者となる上嶋清一氏が、バスの運行認可がおりる3・6mを要望。
交渉は難航したものの、上嶋氏が一切の責任を引き受け、増額となる工事費用の差額分を個人負担することで陸軍が承諾。
道路は昭和16(1941)年に着工し、翌年秋に開通しました。
戦後、道路は払い下げられ、昭和23(1948)年7月、乗鞍への路線バスの試運転を実施。
これが乗鞍スカイラインの幕開けです。
 濃飛バスは昭和18(1943)年に設立され、今年が75周年。
乗鞍線は今年が開通70周年で、その歩みはほぼ重なっています。
同社の坂上博幸さんは、「創業の頃は、戦争が終わった後の山岳観光を楽しむ未来を予想していたのかもしれません。
先見の明ですね」と創業者の英断に思いを馳せます。
 乗鞍山頂は、最盛期には雲上銀座と呼ばれるほど賑わいましたが、マイカーの増大が大渋滞や自然を損なう事態を招くようになり、平成15(2003)年からマイカー規制が実施されました。
今、澄んだ空気と大自然を満喫できるのは、そんな取組みのおかげです。

インスタ映え抜群! ハッシュタグキャンペーン

▲濃飛乗合自動車株式会社
企画販売部宣伝販売課長
長瀬陽子さん


 標高2702mの畳平は、乗鞍線の終点。
つまり、日本一標高の高い場所にあるバスのりばで、記念撮影をしてSNSにアップすればインスタ映えすることは間違いなし。
ちなみに、濃飛バスを運行する濃飛乗合自動車株式会社では、乗鞍線開通70周年記念事業の一環として、この夏、#nohibusと、タグ付けして投稿した画面を所定の場所で見せると乗鞍スカイラインと濃飛バスをデザインした缶バッジがもらえるハッシュタグキャンペーンを実施中。
同社の長瀬陽子さんは「乗鞍は、思わず写真を撮って人に見せたくなる風景や動植物の宝庫なので、ぜひSNSにアップして、感動を分かち合ってくださいね」と呼びかけます。

※缶バッジ交付所 ・  高山濃飛バスセンター ・ 平湯バスターミナル ・ ほおのき平バスターミナル ・ 乗鞍バスターミナル

畳平に到着!そこは2702mの別世界動


▲畳平の乗鞍バスターミナル

 


  シャトルバスから降り立つと、そこは天空の別世界。
爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込むと、心まで洗われそうです。
登山の安全を祈願し、乗鞍本宮の中之社(遥拝所)に参拝!



▲神職の方がいらっしゃいます

▲乗鞍本宮の中之社


楽しい山登りのための心得


▲瀬戸祐香さんと
飛騨県事務所環境課環境保全係の
松原正哉さん

 


▲鶴ヶ池


 畳平から先は、さまざまな選択が可能です。
のんびりお散歩を楽しみたいならお花畑コース、鶴ヶ池コース、魔王岳コースが最適で、所要時間はいずれも30?40分とお手軽。
ゆっくり登山するなら、大黒岳コースか富士見岳コースで、どちらも60?90分程度です。
そして、がっつり登山したいなら、主峰、剣ヶ峰コース。
往復3時間程度で3026mの山頂を極めることができます。
レベルに応じて多彩なコースが整っている上、乗鞍は比較的稜線がなだらかなところが多いので、初心者でも歩きやすいことが魅力です。
 とはいえ、3000m級の山は別世界。
日々、乗鞍を歩いて自然保護活動をしている環境パトロール員の瀬戸祐香さんは、「睡眠不足や二日酔いは絶対ダメ。
体調を整えて来てください。
そしてバスを降りたら、ゆっくりと歩いて、決して走ったりしないでください。
山に登る時も、歩幅を小さくし、なるべく膝や筋肉の負担を減らして」とアドバイスします。
高所は気圧が低く酸素が薄いので、無理をすると頭痛やめまい、吐き気など、高山病の症状が出ることもあるそう。
「ゆっくりと体を慣らして、水分補給も大切」ということなので、畳平では、トイレを済ませ、散策マップをゲットして、いよいよ登山。
今回は初心者にも優しい大黒岳を目指します。
 途中、鶴に似た形の鶴ヶ池や、岐阜県と長野県の県境などを通過。
白山や穂高、高山市内を遠望できたり、ハイマツの緑や雲海、可憐な高山植物に目を奪われたりと、登り口に至る前から、すでに感動の連続です。大黒岳は登山道が整備され、石段も設けられて、とても歩きやすいコースなんです。
 


超ラッキー!雷鳥との出会い


 この日は、特別天然記念物の雷鳥にも遭遇しました。
大黒岳は雷鳥と出会える確率が高いことでも人気のスポットなのだとか。「頂上近くの岩が雷鳥に一番人気で、そこに巣を持てるのは、乗鞍の雷鳥界のトップ。
アイドルグループのセンターみたいなもの」という瀬戸さんの説明に、思わず笑いました。
乗鞍は、雷鳥の生息数が日本一安定している山と言われ、150?200羽が生息。
一度つがいになると、どちらかが死ぬまで添い遂げる雷鳥は、夏がちょうど子育ての時期。
運が良ければ雛を見ることもできるかもしれません。
「雷鳥は、人間が害を加えないことを知っているからか、あまり逃げません。
もし出会えたなら、体を低くしてみてください。
ひよっとすると近づいてきてくれるかも」とのこと。
乗鞍の動植物に詳しい環境パトロール員の皆さんは、興味深い話の宝庫。
瀬戸さんは「私たちを見かけたら気軽に声を掛けてください。
鳥や植物などの情報をお教えしますよ」と笑顔で話します

畳平のバスターミナル内にある乗鞍自然観光案内所では、乗鞍ミニガイドツアー(一人1コース500円)の申し込みも随時受付中。
さまざまな解説を聞きながらのトレッキングは、楽しさ倍増、間違いなしです。
やったー!ついに登頂!

 

 登り始めて10数分で到達できる頂上は、はるか前方に穂高が見える360度の大パノラマ。
その絶景と達成感は、登った人だけのご褒美です。

高山植物のお花畑が見頃


▲お花畑 雪がとける
6月末〜7月上旬にOPEN!

 

 

 バスターミナル裏へ通じる階段を降りていくと、右手の谷間に、見渡す限りのお花畑が広がっています。
冬の間は完全に雪に覆われる大地は、初夏、さまざまな植物が眠りから目覚めて急速に葉を茂らせ、やがて色とりどりの花を付けて夏を謳歌します。
その種類は約60種。
コマクサ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイなどなど、岩や大地にへばりつくようにして花を付ける高山植物は、可憐ながらもたくましく、ひたむきに咲いて命をつなごうとする姿が心を打ちます。
お花畑は周遊型の木道が敷設されているので歩きやすく、植物にも人にも優しい散歩コース。
7月〜8月が一番の見頃なので、ここは必見です。


▲クロユリ



▲コマクサ

▲ハクサンイチゲ(白)
ミヤマキンバイ(黄)

▲ミネズオウ
   
自転車グルメと満天の星


▲銀嶺荘社長
小笠原芳雄さん

▲畳平から臨む満天の星空


▲銀嶺荘

 毎年7月に「乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム」が開催される乗鞍は、日本一高い道路を走れるヒルクライムの聖地です。
そこで、自転車のスプリンターたちのために、畳平にある宿&レストランの銀嶺荘が「自転車定食」をメニューに加えたところ、大好評。
飛騨牛の陶板焼きかハンバーグを選べるボリューム満点の定食で、これを目当てに来る人も増えたとか。
 銀嶺荘や白雲荘など、乗鞍には宿泊施設もあります。
泊まらないと見られないプレミアムな絶景もおすすめ。
銀嶺荘社長の小笠原芳雄さんは、「乗鞍は星空もすばらしく、星を見るために宿泊される方もいらっしゃいます。
ダイヤモンドのような星をぜひ見てください」とアピールします。
星が一番輝くのは午前3時頃から明け方前だそうで、星空の後にはご来光を見る醍醐味も。
ご来光は畳平から目と鼻の先の県境でも見られるので、宿泊すれば夜から朝の天体ショーを満喫できます。
「登山するにしても、宿泊なら環境に体が慣れるので、体力的にも楽ですよ」と小笠原さん。
 花も星も最高に輝く夏、母なる乗鞍は、夏休みの最高の感動体験の場になることでしょう。


▲自転車定食 980円



▲味噌ラーメン 850円

▲雪解けコーヒー 350円

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